当会は、批判的社会理論の研究を目的として活動しています。ここで批判的社会理論とは、ユルゲン・ハーバーマスやアクセル・ホネット等の思想、彼らと理論的交流のある諸思想を広く指します。

当会は幾つかの活動を行っていますが、その一つは年に数回研究例会を開くことです。そこでは、ハーバーマスやホネット等の著作・論文・二次文献等を題材として討議し、相互に意見を交換することによって理解を深めようとしています。

当会の前身は「批判理論研究会」です。批判理論研究会は第一回の会合が1999年3月19日、竹内真澄氏(桃山学院大学)と日暮雅夫(盛岡大学)が呼びかけ人となって、東京国際フォーラムの会議室で行われました。この研究会の第一の目的は、ハーバーマスの『事実性と妥当性』の原書を講読することでした。この著作の重要性は、ハーバーマス研究から言っても批判的社会理論の構築から言っても疑いようがありませんでしたが、当時日本での研究の蓄積は十分ではありませんでした。しかし、この著作の理解をぜひとも深めたいという人間は一定数いましたので、共同作業として取り組めないか、と考えたのです。

この会の参加者は出身大学も別々で、専門とする学問分野も、哲学、社会思想、政治学、社会学、教育学等の様々な領域に亘っていました。当時、学問諸分野によって細分化されて捉えられていた批判的社会理論を、学際的に研究することによってその全体像を明らかとしたいということもこの研究会の狙いの一つでした。

研究会は、年に数回もたれ、15回を数えることになりました。その間会員でテキストを読解し討議することで、『事実性と妥当性』についての理解が飛躍的に深化しました。そういった成果の一端は、永井彰(東北大学)・日暮雅夫編『批判的社会理論の現在』(晃洋書房、2003年)に見ることができます。

批判理論研究会は『事実性と妥当性』の検討が一通り終わったのでいったん閉じ、2003年8月20日に、より会の性格を鮮明に表現するため「批判的社会理論研究会」と名称を変更して再出発することになりました。今後も引き続き研究を相互的に深めたいと考えています。

当会は開かれた会ですので、関心のある方の参加をお待ちしています。